
出かけた先の団地の一隅で、クリスマスツリーのライトアップを見た。
ベトナムのクリスマスを、思い出した。友人が「ノーエン、ノーエン」と言っているので何のことか尋ねた。
Noel、フランス語が少しなまった感じになっているのだろうか、そういうことだった。
ノーエンのとき、借りていた部屋の近所にあった、フランス統治期に建てられたのであろう、教会を覗きに行ったらたいそうな人混みだった。
(写真は友人の家の近くにある別の教会=ハントンタイ教会)
フランス統治の影響でベトナムにはカトリックが多くいて、立派な教会が多く、そこに集う人たちの姿もよく見かけた。異邦人による支配の名残というと、聞こえが悪いけれども、そうだ、知り合った老女も南部ファンラン出身、カトリックだった。
彼女は米軍で働いていたと言っていた。そのため、「VCがこっちに来てから私は辛いことばかりだ」と、恨み言を私に言った。最初、「ヴィーシー」の意味が分からなかったけれども、Viet Cong(越共)のことなのだった。
米軍のために働いていたら、それは戦争後、苦労しただろうと思う。彼女には、ハントンタイ教会で話しかけられた。以後何度か話を聞かせてもらった。
(近所にあったタンディン教会。いまは何色に塗られているのだろう)
彼女はしきりと、「アメリカに行きたい」とこぼしていた。親戚の家に住まわせて貰っているような感じだったと思う。
訪ねていくと、その親戚らしき人がでてきて、少しよそよそしげだった。
10年たってしまった。