大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

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落ちこぼれる

飯尾憲士の短編「魂たちへ」を読んだ。特攻にまつわる作品である。

印象的な一節があった。「落ちこぼれるのは、大変むずかしいことです。それに又、溢れ出るもののない人間は、落ちこぼれることなどできません」

飯尾憲士自身、敗戦後に入学した熊本の第五高等学校では落ちこぼれて、ぎりぎりの成績で卒業した旨、別の作品で書いていた。小説だったかもしれないから、こしらえているところがあるのかもしれない。
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でもだいたい事実だろうと思う。

第三高等学校を中退した古山高麗雄もまた、飯尾が書いたような、溢れ出るものがあったのだろうかと思う。

二人に共通するのは、朝鮮半島である。古山は朝鮮新義州の生まれ。飯尾の父は朝鮮半島から日本内地に来たという。飯尾は自らを「混血児」とどこかに書いていた。

むずかしいことを、まったくできなかった自分のことを、思う。

できなかったことをしてきた人には、やはり憧れる。
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by tamaikoakihiro | 2016-10-28 00:08 | 作家 | Comments(0)
飯尾憲士の作品を読んでいる。本日読了したのは『開聞岳』(集英社)。
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特攻隊員の中にいた朝鮮出身者たちのことを追った作品である。執拗な、といった言葉が、その取材姿勢にはふさわしいようにも思えるけれども、とにかく『自決 森近衛師団長斬殺事件』(光人社)を読んで以来、気になっていた作家だから、読めてよかった。

飯尾憲士自身は、父親が朝鮮半島出身で日本に渡った人で、母親は日本人だったそうである。

そういう自分の血に偏執して、というと言葉が不適切かもしれないが、作品を書き続けた人の生涯を想像する。何に執念を向けることの必要もなく、生活するわが身ゆえのことなのだろうな、と思う。
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by tamaikoakihiro | 2016-10-07 05:15 | 雑感 | Comments(0)