大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

<   2014年 05月 ( 3 )   > この月の画像一覧

仙台の兵営

用事があって、東北に日帰りで行ってきた。朝着くと、仙台駅東口から宮城野原に伸びる大通りは、なんだか街路樹に飾られたハノイの通りのように見えた。20分ほど歩いて榴岡公園に行った。朝早いためかランニングやウォーキングに精を出す人たちが多かった。
a0153209_05223277.jpg
大きな石碑があるので近づくと、歩兵第四聯隊を記念する、戦後に建てられたものだった。今村均将軍の名前があった。建てたのは重陽会という組織だそうだ。歩兵第四聯隊が、明治の時代、重陽の節句の日に設立されたことにちなむ名前なのだろうと想像した。

公園の奥に目をやると保存された兵舎があった。いまは歴史民俗資料館になっている。二階には歩兵第四聯隊の内務班を再現した一部屋があった。狭い寝台、低い棚、入口に立てかけられた歩兵銃等々、興味深かった。棚の下で捧げ銃をさせられた若き日のあの作家のことを想像した。

それから東北本線を南下して、大河原に行った。大河原は、高校の野球部で同じ字を名字とするチームメートがいた。遠征で来たこともあった。緑のきれいな球場で試合をした記憶がある(自分は出られなかったけれども)。
a0153209_05234897.jpg

何か縁があるのかもしれない。途中、車窓の外、蔵王の方には雪がまだ見えた。



[PR]
by tamaikoakihiro | 2014-05-26 05:17 | 作家 | Comments(0)

土地のにおい、音

ハノイからサイゴンまで、二泊三日で南下した。統一鉄道というのに乗った。コンパートメントの寝台であった。2005年5月だからもう10年近く前のことだなあ。早朝4時過ぎにサイゴン郊外の駅に到着したと記憶している。(写真はサイゴン駅と無関係)
a0153209_19372858.jpg

駅に降り立つと、においが北部と違った。食べ物のゴミが腐敗したような、いや違うかな、魚礁の濃厚なにおいかな、そういうにおいがあった。バイクタクシーに乗って、中心部に移動するとき、そんなことを感じ、「南部に戻った」と思った。確か3カ月かけてサイゴンから北部は中国国境のカオバン省なんかまで足を伸ばした。だからベトナムを結構知った気になった(単純なことに)。

土地にはにおいがあることを、異国で理解できたのは、いい経験だったと思い出す。

先日、日本の旧植民地、新義州に生まれ育った方のお目に掛かった。どんなにおいが記憶にありますかと尋ねてみた。

アカシアの花のにおいだったそうである。甘酸っぱいにおいなのだそうである。春になると、結氷していた鴨緑江が割れる。その音が、川の近くでは聞こえてきたとも伺った。土地の音である。

話は変わって……ベトナムにいらしたあの元残留日本兵の方は、奇遇なのだが、内地から渡って新義州の税関で働いていたと仰っていたなあ。あれはベトナムに住んでいた頃に聞かせてもらった。冬、オオカミの吠える声が聞こえたことも聞かせてもらった。

におい、音、それぞれ記憶を立体にするものだなあと思う。無菌、無臭志向の時代に育った自分に、そういうものが少ないことは、まあ、何となく残念だなあ。
[PR]
by tamaikoakihiro | 2014-05-18 19:22 | 作家 | Comments(1)

芝浦のあたり

JR田町駅を海側に出て左に曲がる(浜松町方面へ)。見上げるとモノレールが通るあたりを歩き、大通りに出る。BMWの巨大なショールームを右手に見て、小さな五階建てほどのビルを見つける。

住所からすると、そこが「季刊藝術」が最初の編集部を置いたビルと思しい。今はBMWでもバイクの方のメンテナンスを行う場所になっているようであった(一階が、だが)。

果たしてそこが「季刊藝術」編集部のあったところなのかどうか、確信が持てない。そのうち国会図書館地図室で1960年代の住宅地図を見て、確認を取れるかどうか、試みてみよう。

a0153209_12515561.jpg
近くには、看板建築風の二階屋が残っていて、「湾岸」の感じから遠いものもあるのだった。確かあの作家は、江藤淳に勧められ、また円地文子が原稿を落とすことになったから、という“理由”で、編集作業を昼間は行い、それが終わった夜、編集室だか守衛の部屋だかで書いた、と書いていた気がする。

それが編集者から注目され、第二作を書き、芥川賞受賞になった――という感じである。

その古山高麗雄のデビュー作は「墓地で」がタイトル。ただ掲載された「季刊藝術」の目次を見ると「墓場」でとなっている。「墓地」と「墓場」では、だいぶ受ける印象が異なる。

目次の校正にまで気が回らぬほど、多忙になってしまったのか、と想像してみたけれども、どんなものだったのだろう。
[PR]
by tamaikoakihiro | 2014-05-05 12:53 | 作家 | Comments(0)