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労働者の街、逃亡中の戦犯容疑者

年末に、隅田川に近い「労働者の街」に行った。戦犯としてサイゴンで刑死した元将校が、変名を使って働いていたところである。

南千住駅から明治通りまで歩き、左に折れて歩く。簡易旅館の看板が目に付く。「職安」を探していたわけだけれども、目当ての建物はほどなく見つかった。建て替え工事に入るようで寒々しい、コンクリートの建物なのだった。

さほど遠くないところに神社があった。無事をここで祈ったかもしれないと思ったりする。
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将校になるくらいだから、インテリだったのだろうと想像する。

身分を偽って暮らしを送る苦しさを思ってみるけれども、想像できるものではないなと思う。

刑死したのは65年前。

手記を読むと、逮捕されたときのこともある。同胞の刑事から逮捕されたのである。『孤島の土となるとも BC級戦犯裁判』(岩川隆・講談社)を読むと、戦犯逮捕の折のひどい扱いが書かれているが、この元将校の手記に登場する刑事にそんなことはない。

戦犯というのは、異邦の人が決めたことで、その容疑者を同胞が逮捕するというのは、複雑なものに思う。
by tamaikoakihiro | 2016-01-03 07:00 | 戦犯裁判 | Comments(0)

大東亜戦争と南方物語


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