大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

経験

経験したからといって、ものがはっきり見えるとは限らない――「私と戦争」(大岡昇平)。『証言 その時々』(講談社学術文庫)は面白かった。未読のものばかりだった気がする。

大岡と長く付き合いのあった作家の方から、大岡の人となりを伺ったことがあるけれども、大磯や成城の住まいにその方が行った折のことなど含めて面白かった。

それで、経験について、大岡自身は上記のように書いていた。「ロバが旅したからといって馬になるわけではない」という西洋の箴言を、誰か作家が書いていた。

経験は人を賢くするときもあるだろうけれど、まったくそうならないこともあるのだろう。

a0153209_10325061.jpg

(写真は大南公司創業者・松下光廣が最初に定住したハノイ南方ナムディンの町。松下のもとで多くの大川塾生が戦前・戦中・戦後と働いた)

学生時分、ベトナムを旅行していた。インドネシアから来たある人が、「インドネシア人、バカなんですよ」と、私なんかでもそりゃあ言い過ぎだし、もし「バカ」と感じるある一人に遭遇したからといって、「インドネシア人」に敷衍するのはなあ、と感じることを、口にしていた。

旅行は貴重な経験だけれども、自らみた範囲だけで、「真実」と思えるような思い上がりも許すわけなのであろう。経験とはそういうものなのであろうな。

それはベトナム在住時、日本では考えにくいもろもろのことにいらだっていた自分にも通じる感覚である。それで大岡の言葉に接すると、そうなんだよなあと思う。

来月、酒田に行けることになった。酒田に行って、大東亜戦争中、当時の若者としては特異な教育を受け、特異な経験をされた方々のお目にかかれる。今から待ち遠しい。
[PR]
by tamaikoakihiro | 2014-09-07 10:36 | 作家 | Comments(0)