大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

駒込うろうろ

朝、昭和三〇年代の住宅地図を片手に駒込駅のあたりを歩いてみた。駒込はどうも坂の上と坂の下と分けて考えるのだけれども、下が見たいところなのであった。
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探していた作家の旧宅のあった場所は、割合すぐに見つかった。その頃から住んでいるのであろう人の名がついたビルが目印になった。

坂上の大名屋敷の方からすると崖の下で、徳永直が「太陽のない町」の舞台としたというのもわかる気がした。

その作家は「悪い仲間」(安岡章太郎)で描かれた仲間たちののボス格なのだけれども、戦後は本人曰く「うだつの上がらぬ編集者」として長く過ごした。

駒込に住んでいた頃には、安岡章太郎の方は文壇に進出して活躍し始めているから、焦燥もあったのではと想像するけれども、実際はわからない。

後年作家になってからの長編小説の一章に「坂の下の町」と題するものがあるから、当時は鬱屈するところもあったのかもしれない。

駅に戻る折にうろうろしていると、聞き覚えのあるベトナム語、それも南部弁が聞こえて来た。開高健が「鳥のさえずるような」といった感じで形容したやわらかい言葉である。
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若い夫婦がマンションから出て来て、赤子を連れてどこかへ出かけるらしかった。

あの作家は南部仏印サイゴンの監獄に捕らわれていた。何か縁を感じた。あの作家は「安南語はよく音が通る」といった形容をしていたなあ。確かにそうなのだなあ。
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by tamaikoakihiro | 2014-08-16 20:55 | 作家 | Comments(0)