大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

「こころ」(第19号・平凡社)

戦前の朝鮮・新義州に育った方が、内地に初めて来て驚いたことの一つに、日本人が肉体労働をしている光景を見たことを挙げていた。

大日本帝国は東アジアで見れば、台湾、朝鮮半島に及んでいたわけだけれども(満洲はいろいろ議論があるようなので、よくわからない。とりあえずここでは除く)、概ね肉体労働は植民地では、日本人がやる仕事ではなかったようである。

その方から拝借した資料にも、同じような驚きをつづった文章があった。

何もこういった人種に由来する話は日本に限ったことではないはずで、フランス領印度支那に戦時中いた方々からも「安南人」とフランス人の間にある懸隔に関する話はよく伺った。

「人種なんて今さら」という話もあるのだろう。とはいってもたかだか数十年前のことを、大昔の遺物のようには、どうも感じられないのだなあ。

「人がもう昔のことだよってというのって、たいていは今のことなんだよなあ」と、誰かが言っていた。

そうなのかもしれない。

今日家に帰ってくると、平凡社の「こころ」(第19号)が届いていた。『一〇〇人が綴る「私の思い出の一冊」』という、平凡社創業一〇〇年を記念した特集の号である。
a0153209_23544675.jpg


声を掛けてくれたKさんには、何ともお礼のしようもなく、この2年、特に何もしていないのに、と申し訳なくもなる。

植民地があった時代のことを、これまで何人かの方に聞いていたのだけれども、あるとき、京都の小さな駅の近くの喫茶店で、ある方から直截に言われて、人種に由来する“別種”の感覚が、かつて明確に存在していたことに、納得する思いを持った。

要するに有色人種への差別、であるのだなあ。

その思いを補強されたのが、ジョン・W・ダワー「容赦なき戦争」を読んでのこと。読後に抱いた感情等々、機会を得たので書いてみた。

立派な赤い装いの「こころ」になんだか感動する。

ああ、そうだ、新卒で入ったあの会社には、校閲部に「世界大百科事典」があった。違う階へ降りていって、調べ物をするふりをして、適当に行き当たった項目を読んだ記憶がよみがえった、な。

CD-ROMの「世界大百科事典」ではひたすらゴキブリのことを読み返した。あれはどこにいったのだろう。ゴキブリは気になる存在だった。アパートに頻繁に出没したから。

あの会社に拾ってもらえたのは、ゴキブリについて書いた作文のできが割合良かったせいだと、今も思っている。そういうわけで、平凡社といえば百科事典、それはサボりのお友だちなのである。
a0153209_23594625.jpg

[PR]
by tamaikoakihiro | 2014-06-07 00:01 | 雑感 | Comments(0)