大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

内務班

「徴兵忌避を戦争否定の有力な手段だというのなら、格別深い洞察を強い信念も持たない一市民でも、その道を選びうる基盤がなければならない」――吉田満の「一兵士の責任」から。

吉田自身は、学徒出陣組であり、将校であったから、“一兵士”とタイトルにつけたのは、そういう普通の人々(これは、高等教育を受けていない、くらいの意味で使ってみる)のことまでも思考の枠に収めて考えたかったということなのだろう。

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高等教育を受けた大学生も出陣し、運命を受け入れようとして苦しんだと、大方の本には書いてある。つまり与えられた場所で最善を尽くしたのだろう(つまり、戦場でよく戦おうと努めた、ということだろう)。

すると、上のような部屋(内務班)で、古参兵からいじめられ、南方を転戦したあの作家が後年デビュー作で「私には、思う自由、というものがある。これだけは、誰も束縛することはできない」と書いたのは、当時のある若者の、切実で精一杯の抵抗を示していることになるのかなあ、と思う。

内務班は整然としていた。階段の踊り場に出て窓の外を見ると、公園の緑が目に残った。

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by tamaikoakihiro | 2014-06-02 21:26 | 作家 | Comments(0)