大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

わからぬもの、こそ

「説明ができ、納得できるものもある。でも、そんなものは、たいていつまらない」(『アメン父』田中小実昌)――なるほど。わかりきれるもの、は大して欲求が募らないものなのであるから、それはそうだなあと思った。

『アメン父』は神保町の小宮山書店で購入した。古山高麗雄が印象的な追悼文を確か書いていて、それを呼んで以来、田中小実昌という作家のことはずっと気になっていた。

名前を知ったのは、ミステリとSFに強い出版社に新卒で入っていくらか経ったときだと記憶する。しかしそのときは名前を覚えただけで、あとは特になにもしなかった。

誰かの随筆でバスに乗ることが好きな人だと書いてあった。東京の街中をバスに揺られてうろうろするようになってから、田中小実昌、という名前を時々思い出した。バスはただ乗るだけで面白い。

浅草発池袋行きなんていうのはとりわけ面白かった。下町のごちゃごちゃした感じを出発点として、日暮里辺りで開成高校を右に見て山の手に入り、巣鴨界隈を横目に見て首都高に見下ろされた池袋に着く。

そういう変化に接すると興奮する。

1925年生まれだから、敗戦の時に二十歳。さてこれから読んでみよう。

思い出した、サイゴンでも、中心部から華人街のチョロンに入る頃の、漢字が溢れるエリアへの変化は面白かったのだ。
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by tamaikoakihiro | 2014-04-20 16:50 | 作家 | Comments(0)