大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

越南の亡命王族、クォン・デ

越南の亡命王族、クォン・デという人のことは、ドキュメンタリー映像作家の森達也氏が著書で広く知られる機会をつくった。

「東京人」に拙稿を掲載してもらった際には、東亜経済調査局附属研究所、通称大川塾と彼との関係を紹介した。

一期生の寮日誌を読んでいると、やはりクォン・デのことが出てくる。

「上大崎の大川所長邸を訪ね、所長と夕食を共にして、座談の中に、亡命安南王族クォン・デ候(日本名・南一郎)とその同志の日本における活動について教えを受く」

大川所長邸とは、大川周明の私宅のことである。大川塾から歩いてすぐのところにあった。

こういった会食の機会にも、アジアの植民地で起こっている独立運動の状況についての教育は、塾生たちに伝えられ、やがて渡洋した時、彼らの意志を強固ならしめる一因になったのだろう。

博覧強記の大川周明だが、何も書物から得た知識だけで教育をしていたわけではない。

実際にはクォン・デは大川塾に来たし、仏印で広く事業を営む大南公司・松下光廣社長を通じて情報を得ていた。

日誌を読んでいると、南方の独立運動の熱気と上大崎のたたずまいが交錯して思い浮かぶ。
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by tamaikoakihiro | 2010-08-26 12:43 | 東亜経済調査局附属研究所 | Comments(0)