大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

サイゴン中央刑務所のことなど

ベトナム・ホーチミン市(旧サイゴン)に住んでいた折、古山高麗雄が収監されていた「サイゴン中央刑務所」跡地と「チーホア監獄」をよく訪ねた。

古山はまず後者に収監され、次に前者に移送されたのだと記憶する。

後者「チーホア監獄」は現存し、今も刑務所として機能している。フランスがつくった立派な煉瓦造りである。

前者「サイゴン中央刑務所」はいま図書館が建っていた。

これらの刑務所で送った日常を描いたのが「プレオー8の夜明け」であり、芥川賞受賞作である。

内容ももちろんだが、古山の音に対する鋭敏な書き方に何度も魅せられる思いがする。

朝、馬車が刑務所の外を通るところの音、収監されている日本人たちがたてる生活の音(うがい、脱糞)など、音が言葉で描出されている。

そのためか、刑務所暮らしという、そして処刑もありうるという陰惨な日常が、それこそ変哲のない市井の日常に思えてくるから不思議だ。

古山が亡くなったのは2002年。もう8年前だ。当時、私はこの作家のことを知らなかった。

大東亜戦争を知るようになってから、作品を読んだ。

かの戦争を賛美したり排撃したりという極端な姿勢を嫌う人であったようだ。
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by tamaikoakihiro | 2010-08-03 05:35 | 雑感 | Comments(0)