大東亜戦争と南方物語


by tamaikoakihiro

フランス領インドシナにあった日本商社・大南公司

ここ何年も、といったら少し大げさだが、ずっと気になっている会社がある。名前は大南公司。松下光廣という五島列島出身で明治末年に仏領インドシナに渡った人物が興した商社である。

戦前・戦中を通じてベトナム民族独立運動を陰で支援した人物として、松下光廣の名は知られている。

現在のベトナムだけでなくタイやカンボジアなどにも支店を持った。

彼は大川周明と接点を持ち、安南王国の亡命王族クォンデともつながっていた。

また大川周明の弟子である大川塾卒業生を数多く受け入れ、商売のイロハを教え、また独立運動支援の貴重なメンバーともしていたようだ。

彼に対する感謝の言葉を、ある卒業生(故人)の手記の中に見ることができる。

「ただ、時代に即して運営する事務局に人を得なかったため、志と現実が異なり、卒業生のある者は軍に、ある者は外務省の下働きに甘んじることになった。わずかに大南公司、松下社長のみが卒業生を尋常に扱ってくれたやに思う。まことに残念である」

この方はタイで大南公司・松下光廣と交流を持ったようだ。

松下は一時期、仏印政府からスパイ容疑で睨まれ、域外への退去を余儀なくされた。塩田開発のための調査が、日本海軍の南進の便宜を図ったのでは、という嫌疑だったという。

「独立支援商社」。そんな言葉を、大南公司について調べるたび、頭の中で転がしている。

ちなみに大南公司は戦後、再びベトナムに進出し、戦中から親交のあったゴ・ディン・ジェム大統領(南ベトナム)の居場所に松下がフリーパスで入れるという特異な立場を活かし、事業の再興を図ったのである。
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by tamaikoakihiro | 2010-06-11 12:22 | 東亜経済調査局附属研究所 | Comments(0)